要旨:皮肉なことに紛争や貧困・飢餓があるから現在地球はどうにか持続可能?
持続可能な人口はおそらく20億~40億人[1]。非倫理的手段によらぬ、皆が豊かで持続可能な人口への平和的移行をともに考えたい。
持続可能な世界人口がもし最近の推定値とされる20~40億人だった場合(参考:ポール・R・エーリッヒによると適正人口は15億~20億人)[1][2]、2022年現在約80億人存在する人類には相当な平和的な人口計画の実行が求められるだろう。ただし殺し合いや病気のまん延、餓死などの過激な手段は倫理的に許容できない。我々は、幸せを損なわぬ、持続可能な人口への平和的調整に取り組む必要がある
一つの懸念はエイズなどの病気であり、疑惑に満ちた陰謀説も存在するが、真偽はわかっていない。重要なのは、病気を利用して人口を減らすという手段は道徳的に誤っているということだ。我々は医療や啓発活動を通じて病気と戦い、人々の健康を守りながら持続可能な人口調整を目指すべきである。
また、現在の世界における貧困や飢餓、紛争なども、持続可能な人口と関係している可能性が考えられる。すなわち、今と将来の世界の人々が、(例えば物質的に最も豊かであろうアメリカ人並みに)豊かな生活をするために必要な資源の消費や環境負荷が、地球規模では持続不可能であると判断した何者かが、一部の地域を貧困や飢餓、紛争の状態に保っている可能性が考えられる。この可能性は状況的に示されるものであり、逆にもしこのままの人口規模で貧困や飢餓、紛争が解消され、すべての人々がアメリカ人並みの資源の消費や環境負荷を持つ生活をするようになると、地球は破綻する可能性がある[3]。
過去の戦争の主因の一つは人口抑制であった可能性も考えられるが、戦争は人々に深い傷を与える結果となる。我々は戦争を回避し、平和的な手段で人口を調整することを目指すべきである。
国連を含む国際的な組織の主導で、世界的なキャンペーンを展開し、持続可能な人口に向けた努力を強化する必要がある。「仮に2010年から一人っ子政策を始めたとしても、20億人まで減らすには140年もかかる」というある試算の結果を考えると相当な努力が必要とされるだろう[4]。政策による誘導と啓発活動を組み合わせ、人々が自発的に適切な子供の数を考慮できるような環境を整えることが重要だ。特に人口過剰な地域においては、「逆子ども手当」などの政策を導入して、持続可能な人口調整を促進する必要があるかもしれない。(「逆子ども手当」とは、子どもの数に反比例して支給されるべき給付金である)
人々が平和的に持続可能な人口を実現できるように強く願い、共に生きることを喜びとする社会、皆が豊かで幸せな世界を実現するための努力を続けていく必要がある。現実的な課題ではあるが、啓発と政策の両面からの取り組みを通じて、持続可能な未来を築くために共に考え、努力していきたい。
[1]
Wikipedia
[Sustainable Population](英文)
[2] Gretchen C. Daily, Anne H Ehrlich, and Paul R
Ehrlich.
Optimum Human Population Size. Archived 2017-8-17 at the Wayback
Machine...Population and Environment: A Journal of Interdisciplinary Studies
Volume 15, Number 6 July 1994 01944 Human Sciences Press Inc.
[3] グレン・カール. 100億人の世界人口. ニューズウィーク日本版. 2018, (7/10).
[4] Corey J. A. Bradshaw, Barry W. Brook. Human
population reduction is not a quick fix for environmental problems. Proc Natl
Acad Sci U S A. 2014.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4246304/, (accessed 2023-7-26).